今回は自軍ユニット間で支援関係を発生させるイベントを作ってみます。
さまざまな方法があると思いますので、その一例です。ここまで紹介してきた SRPG Studio の各種設定方法を組み合わせた、実践編のような内容になっています。

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以下の順に説明していきます。

0. 仕様を決める
1. 支援レベル管理のための変数を作る
2. ユニットの詳細設定で支援の設定をする
3. 回想イベントを作る
4. コミュニケーションイベントを作る
5. テストしてみる

ではさっそく。

0. 仕様を決める

今回の設定はわりと複雑なので、まずはおおまかな仕様を決めておきます。
以下のような感じにしてみます。

  • プレイヤーユニット2人の間での支援関係を作る
  • 支援関係は必ず「両想い」になるよう設定する(組み合わせをシンプルにするため)
  • 1ユニットにつき支援相手(支援先)は2ユニットまでとする
  • 支援関係は3段階(レベル)で、あとの段階になるほど支援効果が強まる
  • 各支援レベルの効果は重複させない(レベル2になればレベル1の効果は消える)
  • 支援イベントは出撃開始前のコミュニケーションイベント(種類は「会話」)で設定する。ストーリーの進捗にあわせて、特定のマップに支援イベントを設定する
  • 3段階の支援効果だが、途中「取り逃し」があっても次の段階を取得できるようにする(支援レベル1のイベントを発生させていなくても、支援レベル2・3のイベントを発生させられる)
  • 支援イベントは回想イベントとリンクさせる。発生した支援イベントの内容は「シーン回想」メニューから何度でも再生できるようにする
  • 支援効果は(基本的に)「命中」「回避」「クリティカル回避」に影響を及ぼす
  • 支援効果が強すぎると戦術が固定されてしまう可能性があるので、効果は控えめに設定する(基本的には支援レベル最大でも補正値+10以内とする)

かなり制作者の好みが出そうですね。
では設定作業に入りましょう。

1. 支援レベル管理のための変数を作る

まずは支援レベル管理のための変数を作ります。
画面上部の「VA」をクリックして変数設定ウィンドウを開き、「変数の作成」をクリックして新規変数を作成します。まだ変数をひとつも置いていないタブがあればそのタブを使いましょう。
グループ名」をクリックすると、タブの名前を変えられます。分かりやすいよう「支援レベル管理」のように変えておきます。
作成した変数は特定の二者間の支援レベル管理変数であることが分かるよう「支援 A・B」のように名前を付けます(AとBにはユニット名を入れる)。初期値はのままにしておきます。

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2. ユニットの詳細設定で支援の設定をする

続いて、ユニットに支援の設定をします。「データ設定」>「プレイヤー」で対象のユニットを選んで「詳細情報」をクリックし、「支援データ」タブで「追加」をクリックします。

支援レベル1の設定例はこんな感じ。支援先ユニット支援効果支援発生条件を指定しています。支援発生条件にはさきほど作った変数を指定します(変数の値は、その支援効果が発生する支援レベルを指定)。

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同様の手順を繰り返して、3レベル分の支援設定を作ります。

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支援は「両想い」にすると仕様で決めたので、相手側のユニットにも支援設定をします。

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3. 回想イベントを作る

さて次は 回想イベント を作ってみます。回想イベントでは、「シーン回想」から何度でも再生できるようにする演出部分を作ります。回想イベントの作り方の基本は この記事 を参照してください。

支援レベルごとに3種類のイベントを作っておきましょう。

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回想情報の設定」では、下図のように「関連ユニット1」「関連ユニット2」と、支援レベルにあわせて「ランク」を指定しておきます。(現状「ランク」の挙動が怪しい気がしますが、いちおう)

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ここでコンフィグの設定もしておきましょう。「データ設定」>「コンフィグ」>「ゲームオプション」>「シーン回想画面をユニット一覧形式で表示する」にチェックしておきます。
シーン回想画面が今回の目的にあった表示形式に変わります。

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4. コミュニケーションイベントを作る

最後に、コミュニケーションイベントを作ります。実際のイベント処理は回想イベントではなくこちらで行います。

4-1. 回想イベントからイベントを転送する

まずはさきほど作った回想イベントを右クリックして「イベントの転送」を選び、「転送先」に「コミュニケーションイベント」、「マップ」には情報収集イベントを配置する先のマップを指定します。

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こうすることで、コミュニケーションイベント側に回想イベントの内容が複製されます。転送された側のイベントともとの回想イベントは別々のものとなるので、一方を編集してももう一方のほうは変化しません。

4-2. コミュニケーションイベントを編集する

ここからは「コミュニケーションイベント」タブでの作業です。下図のように編集します。(下図右側のイベントコマンド欄で赤で囲っていないのは、回想イベントから複製された部分)

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  • コミュニケーションイベントの名前は、情報収集メニューに表示されて違和感のないものに変えておきます。今回は(回想イベントのほうには付けていた)「支援Lv1 」という文字を消しました。
  • イベントの名前の欄を右クリックし、「種類」で「会話」を指定します。「会話」は一回きりのイベントとなります。(「情報」だと情報収集画面で何回も実行できる)
  • イベントコマンドの作成」>「イベント系」「効果音の再生」を追加します。情報ウィンドウの表示にあわせて再生されるよう、「処理の完了まで次のコマンドを実行しない」のチェックを外します
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  • イベントコマンドの作成」>「イベント系」「情報ウィンドウの表示」を追加します。「情報タイプ」は「情報」にします。メッセージの内容は「支援関係が深まった!(Lv1)」のようにします。
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  • イベントコマンドの作成」>「イベント系」>「環境ファイルの操作」を追加します。「回想イベント」に、転送した元の回想イベントを指定します。これによって対象の回想イベントが実行済み扱いになり、「シーン回想」メニューから閲覧可能になります。
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  • イベントコマンドの作成」>「イベント系」>「変数の調整」を追加します。「変数」に作成した支援レベル管理用の変数、「オペランド」に「定数」で設定する支援レベル、「演算」に「代入」を指定します。
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一気にいろいろと設定しました。設定はこれで完了です。(といっても1つのイベントだけですが)

5. テストしてみる

ではテストしてみましょう。

情報収集画面に会話イベントが表示されます。

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実行すると会話イベントが実行され、支援関係が深まったと情報メッセージも表示されます。

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会話したユニットのステータスを見てみると、「支援相手」の欄に支援先の相手の名前が表示されます。また、自分も支援を受けているので、「命中」と「回避」の値が上昇しています。

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シーン回想」画面はこのように表示され、実行した会話イベント(と同様の回想イベント)を閲覧できるようになっています。

スクリーンショット (1719)

今回は支援発生イベントの作成例を紹介しました。ほかにも、情報収集画面ではなく出撃開始後の会話イベントで支援を発生させたり、ユニットの隣接回数を支援発生の条件にしたりと、さまざまな方法・演出がありそうです。
(支援発生イベントを自分で作るゲームに導入するうえでのネックは、とにかくイベントの数とテキスト量が膨大になってしまうことでしょうか。。。)

今回は以上です。